皆さん、こんにちは。今週も『中国法務の扉』へのご訪問ありがとうございます。
名古屋は相変わらず雨が少ないですが、紫陽花がきれいに咲いています。季節を感じる心の余裕を持ちながら過ごしたいと思います。
今週は、「書籍を作りませんか」の飛び込み営業の電話を受け(こちらがお支払して作って頂くものですよ。)、興味本位で申し訳ないと思いつつ、出版費用やルート、出版社と著者の責任分担、在庫の取り扱いなどについて色々聞いてみました。「営業電話に付き合うなんて時間の無駄じゃないか」と周囲に突っ込まれましたが、なかなか興味深く、売れる本にするためには<誰向けなのか>と<テーマ設定>を明確にすることが最も大切だということを教えて頂きました。残念ながら私の心は動かなかったのですが、本屋さんのどのコーナーにおいてほしいかを明確に意識して執筆することが肝らしいので、出版を目指される方は参考になさってください。
さて、今日は<誰向け>と<テーマ設定>が超明確な中国駐在に必読の本をご紹介したいと思います。
このコラムを読んで下さっている方ならもう読んでいらっしゃる方がほとんどかもしれません。中国駐在新任者向けの心構えを書いた本で、昨年出版されたかなり新しい書籍です。
私は駐在員として中国に渡航したわけではありませんが、いつか駐在員を送り出す日本本社や現地法人の役に立ちたいとの思いがあり、出発前に何度か中国駐在員向けのセミナーに参加しました(帰国後にも参加しました)。セミナーでは中国現地法人と本社とのギャップなど興味深いエピソードをたくさん聞くことができ、かなりの臨場感がありました。
……が
この本は、そんなセミナーの100倍くらい臨場感があります。
駐在の高揚感、挫折感、苛立ち、達成感…全て、くまなく体感することができます(あくまで想像ですが)。明日にでも出発して、がんばれそうな気持ちになると思います。しかも、2、3時間で。私はこれから駐在に行くわけでもないのに、本が蛍光ペンだらけになりました。
是非一度手に取って読んでいただければと思います(小島さんとは面識がありますが、一度も頼まれておりません。)。
この本のターゲットは先ほども記載したとおり現地法人、日系企業の駐在員なのですが、駐在員以外にも役に立つのではと思うところが随所にあります。日本本社の方も是非読んで、現地の状況やジレンマを理解すべきではないかと思いますし、配偶者にも読んでもらえれば、なぜパートナー(駐在員)がこれほどまでに疲れ果てて帰ってくるのかを理解してもらえるようになるのではないかとも思いました。中国以外の海外でビジネスをされる方にとっても発見があるのではないかと思います。
中国人と日本人とでは考え方や物ごとの進め方に違いがあると感じます。しかし、中国人、日本人というレッテルを貼ることには抵抗感がある。これをどうやって説明したり考えたりするとよいのだろうかと長らく自問しており、私の中での小さな課題でした。小島さんはこの点について、『「日本人は…」「中国人は…」と言うと、ステレオタイプに切り取りすぎだと怒られるかもしれませんが、ありのままに理解するのはなかなか難しく、ある種の典型を押さえることは有効だと思います』と述べておられます。簡単な表現でさらっと記載されていますが私の中で目からうろこというか、ストンと腹に落ちたところがありました。
最初から最後まで<現地法人の人と組織の問題を解決したい>という目的や想いが貫かれているから、比較されても違和感がない。区別して語る目的が重要であるということを再認識しました。「女性は…」「男性は…」の切り口で話すときも抵抗感があったのですが、とてもよいヒントをいただきました。
一時身動きが取れなかった駐在員も入れ替わりが少しずつ進んでいるようです。健康には気を付けて、心の準備をしつつ駐在生活を楽しんで頂ければと思います。
それでは皆様、また一週間、元気に楽しく過ごしましょう。