『中国法務の扉』へのご訪問、ありがとうございます。名古屋の弁護士岡部真記です。今週は名古屋も緊急事態宣言が出されました。
前回の緊急事態宣言の際は、裁判所もストップしてしまいましたが、今回は裁判を止めないということなので、裁判中の皆様が緊急事態宣言のせいで大変な思いをするということは基本的にはなさそうです。
裁判所は昔からオンラインに対する不信感が強く(修習生の時にも強くそう思いました)、日本のオンライン導入は遅れていると長い間、聞かされてきました。実際にそうだと思いますが、この事態でオンライン導入は加速度的に進みました(地方によってかなり差があるようですが…。名古屋は早い方だと思われます。)。
私の担当する民事裁判も順次テレビ会議になり、現時点ですべて(数は少ないです)テレビ会議になりました。「テレビ会議で裁判をする」というのは想像しにくいと思いますが、まずパソコンとテレビ画面がある会議室(パソコンで席でも可)にログインしてスタンバイします。認証をしてシステム(Microsoft Teamsが採用されています)に入ると、裁判所と相手方の弁護士事務所とつながります。あとは、基本的には裁判の通常通りの流れで、今のところ特に「これは困った!!」という経験はありません。ただ、表情や雰囲気が分かりにくいので、「和解のタイミングをとらえるのが難しくなった」と感じる弁護士もいるようです。証人尋問まで当然のようにオンライン化する日はまだ当分やってこないと思いますが、いつの日か「昔はわざわざ裁判所に出向いてたらしいよ」とかになる、かも?
さて今週は、中国にいらっしゃるコンサルタントの方から、日系企業のセクハラ・パワハラ問題に関する報道について連絡を頂きました。最近中国でも、ハラスメントに対する意識がとても高まっているようです。現地法人のコンプライアンス規程作成や相談窓口の援助などの仕事も増えていると現地法律事務所の方からもお聞きしました。中国だから日本と全くハラスメントの考え方が異なるかと言うとそんなことはないと思っていますが、同じ行動でも評価・認定が違ってくる場合は当然あるだろうと思います。特に「面子を重んじる」という中国の文化は大切にしなければならず(<人前で注意してはいけない>とは、しょっちゅう言われますよね)、また、中国人スタッフを下に見ていると思われるような態度をとらないよう注意が必要です(言葉が全く通じなくても、「怒られている」「ムカつかれている」、は絶対に伝わっています。)。
ハラスメントの認定は日本でも幅があり、人によっても感じ方が色々ですが(「絶対にパワハラなんかしていないから!」と上司である調査対象者が身の潔白のために持ってこられた録音を聞かせてもらって、「えっと…これは…(パワハラ!!)」となったこともあります)、中国と日本の認定にどのような違いがあるのか、一つの言葉で決定的にダメなものがあるのか、関心をもって見ていきたいと思います。
実は今日、中国からすべての荷物が戻ってきました。「これをカオスといわずしてなにを…」というほどぐっちゃぐちゃで、途方に暮れています(今も座るところがなくて正座…)。強制ミニマリスト生活は寂しいなと思うことも多かったですが、今となっては一刻も早くあの生活に戻りたいです…
それでは、今週も元気で過ごしましょう。また来週!